HATSから腹臥位へ 両肺換気·気胸による腹臥位，鏡視下食道癌手術

摘要

食道外科領域では侵襲の大きい開亂開腹手術から低侵襲な胸腔鏡，腹腔鏡下手術が導入され， さまざまな術式の工夫が報告されている。これまで左側臥立，片肺換気下に行う開胸あるいは胸腔鏡下食道癌手術が主に行われてきたが，左側臥位手術では術野確保に肺，気管の確実な圧排が必要であり，さらに開胸開腹食道癌手術は体壁破壊に伴う大きな手術侵襲が加わるので術後の呼吸抑制や喀痰排出障害による肺合併症などが問題となる。それらの問題を改善するためにわれわれは用手補助胸腔鏡·腹腔鏡下手術(HATS, HALS)を施行してきたが，現在では左側臥位手術から完全腹臥位雨肺換気気胸下の鏡視下食道癌手術に術式を変更し，安定した術野確保ができ，安全に施行できているので本稿では腹臥位手術の導入の経緯と胸腔操作の工夫を中心に述べる。