磁気センサシステムをもちいた計測による座位・仰臥位・腹臥位における舌運動の差異の検討

摘要

われわれは日本語の調音音声学の精緻化を目的として，発話運動のリアルタイムMRI（rtMRI）動画の収録を進めている。通常の発話は立位や座位などで行われるが，rtMRI動画では仰臥位の発話運動を収録する。重力の方向が変化するため発話器官の形状や運動が通常の発話と異なる可能性がある。この差異を検討するためStone らは超音波画像法を用いて座位と仰臥位の発話時の舌形状の違いを調べ，重力などの影響は個人差が大きく，発話内容によっても異なることを報告した。北村ら[3]は縦型MRI 装置を用いて座位と仰臥時の母音生成時の舌形状を比較し，仰臥位で舌が後方に移動すること，およびその程度は被験者により異なることを報告した。本研究ではrtMRI 動画における舌運動が，座位と比較してどの程度重力の影響を受けているのかを詳細に検討するために，磁気センサシステムNDI WAVE を用いて座位・仰臥位・腹臥位での舌運動を計測した。