外科治療 胸部食道癌に対する手術内視鏡外科手術 胸食道癌に対する腹臥位胸腔鏡下食道切除術

摘要

腹臥位胸腔鏡下食道切除の報告はCuschieri らにより1992年に既になされていたが，胸部 食道癌に対する胸腔鏡下食道切除は最近まで左 側臥位にて行われることが多かつた.近年， 術野展開の利点から患者体位を腹臥位にするこ とが注目されるようになり，我が国でも多くの 施設が導入を試みている.本来，内視鏡外科 手術では拡大視効果のため微細解剖を認識しや すく脈管神経の温存に有利であつたが，更に腹 队位では助手の技量によらずに体位の工夫と併 用する気胸だけで良好な術野展開が得られ，出 血などの浸出液も術野そのものには溜まらず，鉗子の操作性も良いため徹底した縦隔リンパ節 郭清を可能にしたように思える.