強迫スペクトラム障害に対する森田療法

摘要

強迫スぺクトラム障害に対する森田療法の治療方針を整理した。身体へとらわれて いる群で不安軽減を目的としているタイプの強迫性障害は，背後に神経質性格があり症状 への「とらわれ」の機制が働いている場合が多く，森田療法が奏効しやすい。また衝動行為 を伴う強迫性障害に対しては強迫症状と並行して衝動行為に対する対処を行う。衝動行為 の背後のパ—ソナリティについては，入院森田療法実施中把握することに留め外来加療へつなげていくことが大切である。提示した2症例における強迫症状め改善の共通点を振り 返ると，後ろ髪を引かれつつ建設的な行動へ踏み込むことができた点があげられる。強迫 症状を訴えて来た患者に対し，治療者が症状の軽減のみに「とらわれ」ず，患者の健康な欲 求(生の欲望）を発揮するよう援助していく方向で粘り強く患者を支えていくことが森田療 法の基本姿勢だということである。