神奈川県西部における東日本大震災による自殺企図の頻度，臨床的特徴の変化

摘要

抄録：目的：本研究の目的は，神奈川県西部における東日本大震災による自殺企図の頻度，臨床的特徴の変化を調査することである。方法：震災前後3力月の期間に当院救命救急センターに自殺企図で入院となった患者を対象として解析を行った。診断はMini-International NeuropsychiatricInterviewを使用した。結果：震災前後で自殺企図患者は32.9%増加した。震災後は男性の割合が高く，男性の中でもっとも増加率が高かった世代は40-59歳であり80.0%増加していた。震災後では入院時の身体的重症度が高かった。 心理社会的要因は震災後には経済問亂職業問題が増加していた。結論：直接的な被災地できい地域でも震災により自殺企図の頻度や臨床的特徴に影響を与える可能性がある。今 後も長期的な観察研究が必要である。