著明な好酸球増加を伴つた播種性病変を認めない 固形がん患者の肺クリプトコックス症

摘要

クリブトコックス肺感染症は，胸部異常影を契機に 診断されうる疾患である.免疫不全がなく無症状であ れば，無治療での経過観察が可能とされているが， 時に中枢神経感染を含めた播種性感染も起こし臨床像 は幅広い.本例は著明な末梢血好酸球増加の過程で胸 部異常影が出現し，同部位の生検にて肺クリプトコッ クス症の診断となった.好酸球増加の原因としてあき らかなものは認めなかつたため，肺クリブトコックス 症との関連を考えた.また，好酸球増加を伴う播種性 クリプトコックス症の報告が散見されたため，播種性 病変を確認するために，髄液検査，血液培養を施行し たせ，本例では中枢神経を含む身体他部位には播種性 病変を認めなかった.播種性のクリプトコックス症に ともなつて末梢血好酸球の増加が見られることは報告 されているが，本症例の様に肺への限局的な感染に著 明な好酸球増加を認めた症例の報告はないため，ここ に提示する.