低線量放射線による確率的影響 発癌リスクは存在するか？

摘要

CTなどの診断用×線によって痛が3．2％（年間7，587件）増える可能性があるという論文が注目を集めた。 発癌のリスクをICRPの直線しきい値なし（LNT）仮説に基づいて推定した結果である。 ICRP（国際放射線防護委員会）は1990年勧告2）の「第4章　 放射線防護の概念的な枠組み（31ページ）」において以下のように述べICRPのとるべき立場を明確にしている。 「（100）放射線防護の第一の目的は,放射線被ばくの原因となる有益な行為を不当に制限することなく，人を防護するための適切な標準を与えることであるから,放射線防護の基本的な枠組みには，必然的に，科学的な判断だけでなく社会的な判断も含めなければならない。 そのうえ，少ない放射線量でもなんらかの健康に対する悪影響を起こすことがあると仮定しなければならない。（中略）また確率的影響の誘発を減らすためにあらゆる合理的な手段を確実にとることを目指すものである。 」このように，ICRPの勧告は放射線防護?管理の目的に用いるものあり，個々の被曝についてのリスクを評価するために用いるのは適切ではない。