スマートフォン上の手書きアルファベットによる簡易所有者認証の検討

摘要

近年，スマートフォンの普及にともない，ブラウザやアプリによる非対面のネットショッピングが盛んに行われている．このような取引を行うには，取引相手が本人であることを保証する認証システムが必要であり，バイオメトリクスは有効な手段となる．本研究では，スマートフォン上での手書きサインによる個人認証システムの開発を目的としている．しかし，スマートフォンではフルネームを書くには手書き領域が小さく，また認証に有効とされる多値の筆圧情報を取得することができない．そこで，フルネームではなく一例として「TUS」という手書きアルファベットを用いて，筆跡の一画をセグメント分割し，各セグメントの速度と角度の移り変わりを個人の特徴量とする方法を提案し，照合を行った．10人の手書きアルファベットを用いた実験結果によれば，従来の照合方法に比べ，EERを16%から11%に，改善できることが判明した．