両下肢麻痺者のための装着型歩行補助ロボットWPAL

摘要

30年程前に始まったリハビリテーション医療におけるロボット技術活用の取り組みは，当初上肢機能の評価機器開発にとどまっていた。しかし今世紀に入ると，要素技術の進展とともにリハビリテーションロボットの使用目的が機能評価だけでなく練習へも広がっていった。具体的には，必要最小限の補、助で患者自身の連動を促す上肢練習機器InMotion ARMや，設置されたロボットに乗り込む様式の歩行練習機器Gait Trainer，Lokomatなどがすでに製品化されている。そして近年，ロボット工学の更なる進歩によって，装着型の歩行補助ロボットが登場し始めた。本稿では，両下肢に麻痺を認める対麻痺者のための歩行補助ロボットについて，対麻痺の病態，従来の歩行再建，これまで提案されてきた主なロボットについて概説した後，我々が開発を進めているロボットWPAL（ウーパル）（Wearable Power-Assist Locomotor）について紹介する。