ヅル－ゲル法で調製したgamma-アルミナ粉末のパルス通電焼結と焼結体の強度

摘要

多核ヒドロキソAl錯体（PHA）にポリビニルアルコール（PVA）を添加したPHArPVA系複合ゲ）L／を800～1000°cで仮焼して得られたgamma-アルミナ粉末のPECSによる緻密化を試み，次の結果を得た．PHA－PVA系複合ゲルを仮廃して得られた単一相のgamma-アルミナ粉末（原料粉末A）は，PHAゲルを仮焼して得られたgamma-アルミナとchiーアルミナの混合相遷移アルミナ粉末に較べて低温で緻密化した．原料粉末Aを遊星ボールミル粉砕で微粒子化して得られた粉末（原料粉末B）を用いると，緻密化温度は原料粉末Aよりも更に低下し，PECSにより1300～1350°cで緻密化（相対密度＞99．0％）できることが分かった．このように原料粉末Bがより低温で緻密化するのは，原料粉末の微粒子化による効果と粉砕時に混入される摩耗粉（微粒子alpha－アルミナ）の種効果によるためと考えられる．本原料粉末Bを用いて99．0％以上の相対密度が得られた焼成温度は，gamma-アルミナとchiーアルミナの混合相遷移アルミナからなる原料粉末Bを用いる場合に比べて50～100°c低下した．これは，原料粉末Bがgamma-アルミナの単一相であることや凝集粒子（aggregate）中の1次粒子問の結晶学的配向関係の有無が関係するためと考えられる．原料粉末Bを用いてPECSにより得られた緻密な焼結体の結晶粒子径は著しく不均一であった．なお，教構造に及ぼす仮焼温度（800～1000°c）の影響はほとんど認められなかった．原料粉末Bを用いて焼成温度13500cでPECSにより得られた焼結体は，約850MPaの曲げ強度を示した．