乱流制御の夢、夢の途中－II：マイクロバブルによる摩擦抵抗低減に関する実験的研究

摘要

地球温暖化の要因の一つである二酸化炭素の排出抑制が急務であることは周知のことであり，船舶分野においてもこれを改善する方法を模索している．新造船においては，電気エネルギーとのハイブリット化による化石燃料の消費抑制が提案されているものの，現状では，既存船に適用可能なデバイスの開発が期待されている．船舶を用いた輸送の最大の特徴は，他の手段に比べ格段に輸送量が大きいことにある．特に海運の主役であるタンカーなどの肥大船に着目すると，船体が水から受ける抵抗の約70－80％が摩擦抵抗であり，造波抵抗を大きく上回る．そのため，この摩擦抵抗を低減させることが可能であれば，消費エネルギーの削減，排出CO{sub}2量の削減，輸送コスト削減などにつながる．直径数ミリ以下の気泡（マイクロバブル）を用いた方法は，壁面が水から受ける摩擦抵抗を低減させる方法であり，McCormick and Bhattachayya以来長年研究されてきた．この方法は，他の乱流制御法（LEBU：Large-Eddy Breaking-Up device，リブレット法など）に比べ低減効果が大きいことから，実用化への早期実現が期待されている．ここで，「マイクロバブル」と言う用語に対して気泡の大きさの定義は明確にされておらず，本稿では，数ミリ以下の気泡の総称としでマイクロバブルと呼ぶ．図1にマイクロバブルを実船に用いた場合のイメージを示す．