共鳴多光子イオン化法(REMPI)による超希薄気体流計測：（高クヌツセン数流れのミクロスケール·アナリシスを目指して）

摘要

1996年3月4日の朝，私はドイツ，ゲッチンゲンにあるドイツ航空宇宙研究所(DLR)で所長夫妻らとともにシャンパンを手にしていた．私は当時，文部省の在外研究員としてDLRに赴任しており，所属していた研究グループが新しく共鳴多光子イオン化法(REMPI：Resonantly Enhanced Multi-Photon Ionization)による超希薄気体流の計測技術の開発に着手することになり，その成功を祈って儀式が挙行されていたのである．それまでDLRでは，電子線蛍光法(EBF)とレーザー誘起蛍光法(LIF)が希薄気体流の非接触計測法として利用されていたが，それらの手法の計測限界を超える超希薄気体流が計測対象となるスペースチャンバーが構築され，これが新しい計測法の開発への動機付けとなった．