環境省の地球温暖化対策技術開発事業(1)－内部循環型流動床ガス化炉を利用したガスエンジン発電：下水汚泥を活用したエネルギー供給システム

摘要

近年、環境問題への関心の高まりと共にバイオマスエネルギーへの注目が高まっているが、下水汚泥もバイオマスの一種であり、下水処理場は都市部における隠れたバイオマス集積拠点であると捉える事が出来る。 下水汚泥は下水道の普及拡大と高度処理の推進に伴い発生量が年々増加しており、その有効活用及び減容化が強く望まれている。 このような状況のもと、現在は焼却処理やセメント原料化による建築資材としてのリサイクル等が行われている。 しかし現在の方法では、下水汚泥の持つエネルギーの回収と言う観点から見ると十分に有効利用されているとは言えない。次に下水道事業分野におけるエネルギーの消費量をみてみると、国内全電力使用量の約0.7％（約68億kWh／年）をも占めており、そのほとんどが電力によって賄われている。 このようにバイオマスである下水汚泥が定常的に発生し、かつ多量の電力を消費する下水処理場または下水処理設備においてエネルギーの有効活用を図ることは、非常に効果的である。ここで紹介するのは下水汚泥をガス化し、生成されるバイオガス（以下生成ガス）を利用してガスエンジンによる発電を行うシステムである。 このシステムにより、下水処理場において外部から導入しているエネルギー量の削減や、それに伴う温室効果ガス排出量の削減といった大きなメリットが期待出来る。