保管中水質におけるボイラ機器材料の電位測定による耐食性の評価

摘要

長期停止および保管中のポイラ機器のオンライン腐食監視法としての電位測定手法の実機適用性を評価するため，3種類のポイラ·熱交換器用鋼管を用いて電位測定試験を実施した。 すべての材料の腐食電位は数百時間の試験範囲で高い安定性を示しており，さらに，実機模擬のAVTおよびCWT水質中で付与した皮膜は保管中ポイラ水中においても高い安定性を有する。 溶存酸素と塩化物イオンとの共存下において，STB410鋼は腐食電位が急激に卑側に移行し腐食されるのに対して，Cr量の多いSUS304鋼は腐食電位が貴側へ移行して良好な耐食性を示す。また，電位測定手法は腐食の浸漬試験と良い相関を有する。 試験水溶液へのヒドラジンの添加による腐食電位の一時的な低下は酸化皮膜の還元とヒドラジンの分解などが関与する。 これらの基礎的試験結果·知見から，電位測定手法によって火力発電プラントの長期停止および保管中ポイラ機器の腐食を検知できる見通しを得た。