森林バイオマスのエネルギー利用－日本での可能性と展望

摘要

人類が火の使用を覚えて以来，燃料として最も広く使われてきたのは木材である。我が国でも，ほんの40年か50年前までほとんどの家庭が薪炭で暖をとり調理していたのである。その後，化石燃料の登場で木質燃料の利用は急速に衰退していく。石油やプロパンガスが農山村の隅々にまで深く浸透し，昔ながらの薪や炭はすっかり駆逐されてしまった。ところが，1990年頃から先進工業国でも木質燃料が見直されて，その消費が着実に増えている。化石燃料価格の根強い上昇傾向と，再生可能エネルギーへの政策的支援が強い追い風となった。これに加えて見逃せないのは，木質焚きのボイラーやストーブの性能が著しく向上したことである。