多樣化するアルコールビジネス

摘要

ブラジルのアルコール生産量は1，259万キロリットル（2002年），消費量は1，122万キロリットル（2001年）で，いずれも世界最大である。 原料であるサトウキビの作付面積も同様で，世界全体の26.2％に達しており，さらに現在の4倍(2,000万ヘクタール）の植え付け可能面積がある。 ブラジルでアルコール消費が本格化したのは，石油危機をきっかけとした国家アルコール計画による。 公営企業による買い上げや補助金による安価な価格設定，ガソリンへの混入(20％)などで普及が進み，85 年には新車販売台数の96％がアルコールのみを燃料とする車種で占められるほどになった。 しかしその後，財政赤字の増大に伴う補助金削減や国産原油生産量の増加，サトウキビ不作時の生産者の売り惜しみによる供給危機の発生などに伴い，アルコール車の人気下降など，アルコールの燃料需要は低下した。 その結果，98年の新車販売台数に占めるアルコール専用車の割合は0.1％となった。