研削加工の評価とモニタリング技術

摘要

研削加工は，精密機械部品や電子部品，光学部品，医療部品軸部品等の工作物を高精度に仕上げるために不可欠な機械加工法である。近年では，研削盤の性能向上や研削砥石およびクーラントの改良により，高能率で高品質な研削加工が容易に実現するように思われるが，現実はそれほど容易ではない。それは，研削砥石をはじめとする多くの条件因子が複雑に絡み合う研削現象の状況下において，要求される加工結果を満たす研削条件を決定する難しさのためである。また，研削の進行とともに砥石の切れ味は時々刻々と変化し，それに伴って研削現象が変化することも一因である。したがって，最適な研削条件の設定のためには，研削現象を把握することが不可欠である。それには，研削現象を反映する様々なデータ情報をモニタリングし，研削結果を的確に評価することが重要である。本稿では，研削結果とそれを支配する諸因子との関わりについて解説し，いくつかのモニタリング技術と評価事例を紹介する。