環境モニタリングと光技術：リモートセンシングによる植生活力度評価のための分光·偏光度計測

摘要

植物のリモートセンシング画像解析では光合成を行う植物葉が基本となる。 当然，リモートセンシングから植生域を観測すれば葉以外に枝や幹，地面が観測される。 実際の画素はこれらが混在したミクセルとなる。 秋冬の落葉期ならこのミクセルから緑の植物葉が消え，地面の土壌の一部が落葉に替わったミクセルになる。 画素内のカテゴリーとその混在比にまで立ち入って解析するにはカテゴリー分解の手法とそのための画像を準備しなければならない。しかしここでは，リモートセンシング画像処理によりどの様な植生情報が得られるかの基礎的研究として，主に植物葉の状態と分光偏光度の関係を中心に述べる。 本研究が目指しているのは単に植物量の観測に止まらず，リモートセンシングによる樹種の判別やその精度向上，植生の活力度のリモートセンシングによる調査や評価であり，分光偏光度情報利用の効果について当研究室での結果を中心に紹介する。 なお，リモートセンシングにおける偏光度情報の利用はすでにマイクロ波SARではかなり進んでいる。 また可視·赤外波長域での偏光度利用の有効性については石山等による先駆的な研究があるが，その後，ADEOS I，IIでのPOLDER画像の利用を含めてリモートセンシング実利用での成果を聞くに至っていない。