色素微結晶群における近赤外光フォノン援用励起可視発光とその応用

摘要

このフォノン励起は同一の周波数をもった伝播光では励起不可能である。この近接場光によるフォノン励起を利用した光励起過程をフォノン援用励起過程と呼ぶ。我々はこれまでに，色素微結晶群を利用し，フォノン援用励起過程に基づく近赤外光励起によって色素発光である可視光を発生させることに成功している。本稿では，色素微結晶群を用いたフォノン援用励起発光の原理を簡単に説明した後，最近の実験結果として，2つの互いに波長の異なる光，すなわち非縮退光によるフォノン援用励起過程が存在することを明らかにし，この励起過程を応用した光パルス形状測定について紹介する。