遺伝的アルゴリズムによる脳波識別パターン作成の試み

摘要

高齢や身体障害者のコミュニケーションシステムとして，生体信号を利用したさまざまな意思伝達システムが提案されている．その中で，究極の生体信号とも言える脳波を利用した意思伝達システムは健常者への応用も考えられ，期待が寄せられている．本研究では脳波認識の工学的応用の観点から，脳波認識に基づく意思伝達システムの構築を目指す．その一例として方向認識を取り上げ，判別アルゴリズムを提案する．とくに，実時間で実応用を行なう観点から，なるべく簡単な判別アルゴリズムの構築を行なう．なお，われわれの過去の研究において，脳波は個人による差が非常に大きいことを確認しており，各個人に合わせた認識を行なうことを推奨している．今回の実験においても各被験者のデータを同一に取り扱うのではなく，各個人についての認識パターンを作成する．本研究で試みる方向認識は右·左·直進の3種類である．乱数的な判別方法を周いてもそれぞれの認識率は33.3％となるが，脳波による認識は非常に困難であることから本研究では60％～70％の認識率を目指す．