非線形プラグイン適応制御方式による非線形サーボ系の一構成法

摘要

現存するさまざまな家電機器，ディスクドライブシステム，ヘリコプターの機体振動抑制制御など産業界に存在する多くの回転動力系の機械システムでは，設計段階では予想できない周期性外乱の混入により制御性能が乱される，という状況に直面することが少なからず存在する．またある目標値への追従といった設計仕様もよく取り上げられる．特に線形システムにおいてそのような外乱除去や目標値追従といったサーボ系設計問題は，現在までに内部モデル原理を礎にして体系化が成され，実際の産業界においても有効に機能している．内部モデル原理に基づくサーボ系設計では，追従すべき目標値あるいは除去されるべき外乱は，線形時不変で安定な自由(autonomous)システム（以降，これを外部システムと呼ぶ）から発生する外部信号としてモデル化され，漸近的な外乱除去（目標値追従）を達成するためにはフィードバック制御器C(s)がその外部システムと等価な，モデルを有し，かつ最終的な閉ループ系が安定となるように設計されなければならない．またこの手法で設計仕様を満足するためには，外部システムのパラメータが既知でなければならないという重大な制約が不可欠である（たとえば，外乱が周波数山の正弦波だったら，そのωが既知でなければならない）．それゆえ，そのパラメータが変化するたびにフィードバックループを一時切断し，オフラインで設計を初めからやり直す必要が生じる．