石川県内温泉水の化学及び同位体組成を用いた地球化学的地熱資源解析

摘要

環太平洋火山帯に位置している日本は多数のプレート運動により形成された火山の恩恵を受け，地熱資源 が豊富な国である。地熱資源とは，地下のさまざまな 形態の熱資源を示し，高温のマグマもその1つである が，まだ利用されてはいない。国内に存在する地熱発 電所は，地下数kmに存在する地熱貯留槽に存在する 220～350℃の地熱流体を孔井から地表へ取り出し， 蒸気と熱水に分離し，その蒸気を用いて発電するもの である。また，日本全国には数多くの温泉があり，これも中温（25～150℃）の地熱資源の1つであり，重 要な観光資源となっている。最近では，温泉熱を利用 したバイナリー温泉発電の開発も盛んである。地熱資 源の中でも低温である地下水の熱資源は，気温と水温との温度差を利用した地中熱ヒートポンプの利用が進 められている。これらの地熱資源を探査するには，地 質的手法，物理的手法，地球化学的手法があり，本研 究では，石川県内の高温～中温の地熱資源の探査のた めに地球化学的手法を用いて検討を行った。