中高層ビル向け据付工法

摘要

エレベーターはビルの中に据付けられた状態になって完成品となる。 工場出荷時点では個々もしくはユニット化された部品の集合であり，それらをいかに効率よくビルの中で組立て，配置して据付けるかがメーカーとしての課題である。 中でもエレベーター特有の問題として，ビルを上下に貫通するシャフトの中で，いかに効率よく上下移動もしくは部品を搬送するかが課題であり，過去幾多の施工方法（工法）が開発されてきた。 エレベーターの施工法を分類すると，足場工法，WOS (With-Out-Scaffolding)工法，ゴンドラ工法の3種類に大別される。 それぞれ低層ビル，中層ビル，高層ビル向けに効率を追求した結果，採用された工法ではあるが特有の課題·制限もある。 そこで三菱電機ではゴンドラ工法とWOS工法を組み合わせ，それぞれの欠点を補ったGAW (Gondola And Wos)工法を開発し，中高層ビルのエレベーター据付標準工法として展開している。 GAW工法は導入から二十数年が経過するが，近年のエレベーターは，機械室レスエレベーターの登場に見られるように多様化しつつあり，大容量·高速化の需要も高まっているため，従来のGAW工法でカバーしていたかごサイズの領域では不十分となってきた。 そこで現在の工法用治工具の見直しを行い，高速乗用エレベーターの約95％に標準適用可能なものに能力を拡大したS-GAW (Super-GAW)工法治具を開発したのでここに述べる。 合わせてエレベーター据付けの各工法概略と経緯についても述べる。