新型直交軸ギヤードモータ“スーパーヘリクロス”のロバスト設計

摘要

直交軸ギヤードモータは低速回転する出力軸とモータ軸が直交しており，コンパクトに装置を構築できるモータであり，近年需要が拡大している。 しかし，従来の直交歯車（ハイポイドギヤ）は品質問題から工程内手直しが発生し，生産性が低いという問題点があった。 今回タグチメソッドを適用することで，品質を開発源流で確保し，かつ同等以上の性能をもつ直交歯車“スーパーヘリクロスギヤ”を開発した。 設計評価モデルとして，“トルク伝達”の機能（モータ駆動入力側の1次ギヤトルク→動力出力側の2次ギヤトルクの変換）に着目し，歯車の働きそのものを評価した。さらに，歯車の劣化促進及び短い劣化時間で特性変動の評価が可能な計測条件の導出により，従来の寿命試験で3,000時間以上かかっていた評価時間を300時間まで短縮することができた。 この評価方法を用いた設計パラメータスタディにより，高品質なスーパーヘリクロスギヤを設計し，その後製品試作での評価試験を実施した。 その結果，騒音値，寿命，伝達効率等の特性が，従来使用していたハイポイドギヤと比べても同等以上の良好な値であることを確認し，2006年2月に新型直交軸ギヤードモータ“スーパーヘリクロス”の発売を開始した。 発売以来，市場で順調に稼働し好評を得ている。