食肉加工の動向と最新の食肉加工機械

摘要

食肉加工として一般に想起される業態は食肉のハムやソーセージへの加工であろう。しかし近年では、焼豚やハンバーグといった食肉惣菜の分野が大きな位置を占めるようになってきており、また、その加工方法とこれに使用する機械類も多様化している。勿論、基本的な技術、機械類は共通したものであることは間違いないが、その本来の、または出身業態すなわち、ハム、ソーセージ業界、あるいはカットを中心とした生鮮肉業界からの参入かにより、製品化へのアプローチはかなり異なったものとなっている。また、機械類にあってもその使用方法にかなりの差異が認められるのである。ごく大まかな言い方であるが、ハム、ソ一業界では本来のハム、ソーセージの生産においては勿論のこと、いわゆる「食肉惣菜」すなわちハンバーグなどの製造においては、その高度な生産技術を駆使して、より加工度の高いもの、加水率の高いものや原価率の低減化に寄与しうる製品の開発に主に注力されているのに対して、生鮮肉のカットなどを出身母体とする業界にあっては、当初、製品への加水や添加物の使用なども一部の軟化剤などをのぞいて行われないできたのだが、原料代の上昇や厳しい納入条件などから、肉製品としてのオリジナリティをより強く残しつつ、製品の差別化や加工歩留りの向上を目指しはじめているといって良いであろう。このように「食肉加工」一般といってもかなりの幅があり、食肉加工機の現在を考える場合、この2つの分野のそれぞれから言及するのが良いと思われる。