超高黻社会における食fi闢IIの課題-新しいフードシステムの構築-

摘要

本誌に高齢者向け食品に関連した話題で執筆するのは3回目になる。 2003年は「高齢者の咀嚼解析と今後 の食品開発」というタイトルで、そしゃく 能力低下のみられる高齢者用食品の 開発について解説した。その後、2008 年に「そしゃくの機能とそしゃく性の評 価技術」というタイトルで、嚙む能力の 低下しがちな高齢者に向けた食品開 発の指標となる咀嚼性の評価法につい て紹介した2)。本稿では、さらに進んだ 高齢化に対応するための食品産業の 課題について概説したい。我が国は2007年に高齢化率（65歳 以上の人口が総人口に占める割合）が21%を超え、超高齢社会に突入して いる。世界保健機構や国際連合の定 義では、65歳以上の年齢層の人口全 体に占める割合（高齢化率）力マ％を超 えると高齢化社会、14%を超えると高 齢社会とされている。総務省発表の 2010年7月1日現在の確定人口は、65 歳以上は2,934万人となり、総人口 （1億 2，745万人）に占める割合は23%に達し た。今後、日本の高齢化率は上昇し続 け、2055年には総人口 (8,993万人)の 40%を超えるものと予測されている（図 1)。国民の意識や社会システムは、こ の高齢化に追いついていない。