施設栽培トマトの将来方向と問題(3): 雇用を導入したトマト栽培に必要な技術水準の向上と技術導入（どのような技術で規模拡大をはかるのか）

摘要

家族労働に雇用を加えた経常が現状のトマト栽培では最も機能的、経済的であり、また品質の優れた生産物を得る点からも優れた経営形態ではないかと思われます。 十月号で示したように大規模施設を用いた企業経営でのトマト生産は、我が国では気象的な適地が非常に限られて、莫大な投資金額を償却できる条件はなかなか揃わないと思われます。 さらに消費者のトマトの食味に対する要望は諸外国に比べ我が国では高く、周年、安定、多収穫生産を目指す、大規模生産システムには適合しにくいように思われます。 そのため品質が高く安定したトマトの生産がおこなえる栽培経営形態は、地域性を生かした作型による、企業的生産システムではないかと思われます。 しかし現在の農業を取り巻く環境からは、雇用を加えたトマトの施設栽培においても適正な規模と、効率的な経営がなされなければ生産の安定にはつながりません。 七〇～八〇aの施設面積を持つ経営体が一〇～二〇戸集まった生産組織を作り、生産販売に対する意識を一つにして、時代の変化に対応した生産物を生産販売することが、今後のトマト産地に求められる条件ではないでしょうか。