DNAマイクロアレイを用いた酵母プロトプラストの包括的な遺伝子発現解析とインベルターゼおよびα－グルコシダーゼの効率的生産への応用

摘要

20世紀は微生物や植物などの細胞を用いた有用物質生産の時代であった　 しかしながら，現在（単一）細胞を用いる従来の有用物質生産法は頭打ちの状態にある．この現状を打破するには，細胞を用いる従来法の問題点を排除した新たな方法論の確立が必須である．著者らは細胞を用いる有用物質生産法の問題点の1つとして，微生物や植物の細胞の細胞膜の外側にある細胞壁が細胞内から細胞外への物質の移動の障壁やフィードバック制御の原因になっていることに注目した．そして，この問題点の解決策として，細胞壁を除去したプロトプラストの活用を発案し．プロトプラストが有するすぐれた機能（高い物質移動能やペリプラズムに蓄積する有用物質のフィードバック制御からの解放）の高度利用を実現した「人工細胞壁を装着したプロトプラストによる有用物質の高速度生産システム」を開発した．プロトプラストはこれまで細胞融合や遺伝子導入の素材として盛んに研究されてきたが，有用物質生産にはほとんど用いられてこなかった．