森林における風害の予測、防止にむけた 研究の新たな展開 -現状、問題点、今後の方向性-

摘要

林業を取り巻く状況が厳しい中，森林の風害を いかに回避するかという点は非常に重要な問題で ある。台風常襲地域である日本では多大な森林被 害が発生し，数多くの調査、報告事例がある。に もかかわらす，現場が求める風害に対する有効な 対策はいまだ見えてこない。こうした森林の風害 という問題に対して研究サイドがどの程度寄与で きるかを念頭において，，風害研究の現状，問題点， 今後の方向性を整理する意味で本シンポジウムを 企画した。冒頭で齊藤哲ら（森林総研ほか）が日本にお ける森林の風害研究の簡単なレビューと本シンポ ジゥ厶の趣旨説明を行った。その中で，有効な風 害対策を提案するためには，これまでの風害発生 後にその実態を調べる疫学的アプローチのみでは 限界があること，そして欧米で発展してきたシミ ュレーションモデレによるリスク評価が今後は重 要になってくると述べた。そして,複雑な山地地 形に森林が分布する日本でも風害リスク評価のシ ミュレ一ションモデルが進展しつつある背景には， 流体力学分野の発展が大きく寄与してし、る点を指 摘した。