日本列島銘柄牛の旅每25回三重県「松阪牛」:－3年肥育の伝統を誇る最高峰の銘柄牛－

摘要

BSE発生以来、食の安全、ようになった。 今では、全国に確認されるだけで約190の銘柄牛が存在している。 その中でも、日本を代表する銘柄牛と位置づけられるのが「松阪牛」（まつさかうし）だろう。 松阪地方では古くから農耕用の役畜として、兵庫県の但馬生まれで紀州育ちの若い雌牛を導入していた。この雌牛は3～4年もすると次第に太り、「太牛」と呼ばれて肉用に用いられていたという。 ではその名が全国に広がった経緯とはどのようなものか、発端となったのは天保10年生まれの山路徳三郎氏による「牛追い」である。明治維新で文明開化とともに牛鍋屋が広まり、東京での牛肉需要を予測した同氏は、綿密な出荷計画のもと、明治5年に津から東京までを片道20日かけて歩き、3隊で計石数十頭の牛追いを敢行した。 この取り組みは明治30年頃まで続き、肉牛肥育の基礎を全国に知らしめ、松阪の名を広める発端になったという。 その後、昭和10年に東京で開催された「全国肉用牛畜産博覧会」で名誉賞に輝いたことにより、松阪牛は最高級牛肉としての名声を広め、昭和24年には第1回の松阪肉牛共進会を松阪市大黒田町で開催。 以降も、生産者や関係者のたゆまぬ努力により、全国に知られるブランドとなったのである。