黒毛和種牛，ホルスタイン種牛におけるグルコース静脈内注入が代謝ホルモンに与える影響

摘要

ウシのグルコースの利用性について，品種間差（末経産の黒毛和種牛およびホルスタイン種牛），泌乳期間差（泌乳期の異なるホルスタイン種牛）をグルコースの静脈内注入後の血中グルコース消失率および血発ホルモン分泌反応から検討した．グルコース注入によりインスリン，グルカゴン，成長ホルモン（GH）の分泌が有意に促進されたが，インスリン様成長因子－Ⅰ（IGF－Ⅰ）については変化が認められなかった．また，品種間差はなかったが，泌乳期ごとに固有の変動を示した．グルコース注入に対する各ホルモンの血中濃度曲線下面積（AUC）は，黒毛和種年でホルスタイン種牛よりもインスリン，グルカゴンが大きく，GH，IGF－Ⅰが小さかった．また，ホルスタイン種牛で泌乳期の進行に伴い，インスリン，グルカゴンが大きくなり，GH，IGF－Ⅰが小さくなった．以上の結果，グルコース注入に対して品種，泌乳期で固有の反応を示すことが明らかになった．