有機質肥料の施用がホウレンソウの生育および硝酸，シュウ酸，アスコルビソ酸含量に及ぼす影響

摘要

島根県の標準施肥量区，その10％減肥区，20％減肥区，同施肥基準量を被覆肥料で施用した被覆肥料区，同様に大豆油かすと蒸製骨粉で施用した大豆油かす区，およびなたね油かすと蒸製骨粉で施用したなたね油かす区の6処理区を設定してホウレンソウを露地栽培し，生育，品質成分および土壌に及ばす影響を検討した．1）20％減肥した場合，窒素吸収量ほ減少するものの，乾物重への影響は小さく，また，ホウレンソウ中の硝酸含量が低下し，品質成分が向上したことから，現在の施肥量を20％減肥することほ妥当であると考えられた．2）アスコルビソ酸およびシュウ酸の含量ほ処理間に差がみられず，20％の減肥や有機質肥料の施用による制御はできなかった．3）有機質肥料を施用した場合，慣行区に比べて土壌の無機態窒素量は低く推移したが，土壌のアミノ酸含量およびタンパク質含量は収穫時まで常に高い値を示した．これらの土壌中での存在量は無機態窒素量よりも低いが，その存在割合ほ慣行区よりも明らかに高かった．4）大豆油かす区およびなたね油かす区のホウレンソウ中の硝酸含量は慣行区に比べて45％程度低減された．この一因として，有機質肥料を施用した土壌でほ，窒素の無機化，硝酸化成の遅れによって硝酸態窒素の存在量が低く，アンモニア態窒素の存在量が高くなるので硝酸態窒素の吸収が抑制された結果であると考えられた．