野生化したニジマスと天然イワナの釣られやすさの比較

摘要

日本の河川や湖沼では，移植放流などにより複数種が遊漁対象となっている水域が少なくない。 このような水域で生態系管理や資源管理を行う際，釣られやすさの種間差を明らかにしておくことは，天然個体群保全や放流指針策定において重要である。 遊漁を目的とし広く移植放流されてきたサケ科魚類の一種に，ニジマスOncorhynchus mykissがある。 放流された直後のニジマスは非常に釣られやすいことが知られているが，自然繁殖している野生化したニジマスの釣られやすさに関する報告はみられない。なお本研究でほ，「野生化した」を「再生産していると思われる，少なくとも放流直後の魚体でほない」と定義した。 そこで本研究では，渓流釣りの対象魚として人気の高いイワナSalvelinus leucomaenisと野生化したニジマスが同所的に生息する自然河川において，餌釣りおよびブライブイツシソグによる釣獲実験を行い，釣られやすさの種間差を調べた。