黄砂が運ぶ大気汚染物質と大陸起源微生物群 -アジアンダストの生気象学的過程の理解に向けて-

摘要

東アジアの乾燥'半乾燥域から強風によって大気中に巻き上げられ、東アジア全域のみならず北部太 平洋ゃ北米大陸に至る広域に輸送される鉱物性エアロゾルは「黄砂」として我が国でも広く知られてい る.黄砂の物理化学的性状やその発生.輸送.沈着メカニズムについては、これまでにも多くの研究が 行われ、近年ではそれらの知見に基づレ、た黄砂数値予測モデルが開発され、気象庁でも黄砂予測情報と して公開されている.しかし、東アジアの黄砂とりわけ発生域の風下に位置する日本域に飛来する黄砂は、輸送途上で大気汚染物質と混合し、汚染混合型黄砂としてPM2. 5の環境影響や人への健康被害が懸念 されると共に、黄砂粒子の大陸由来微生物群の運び手（キャリアー）としての役割（バイオエアロゾル) も注目されるようになり、黄砂に含まれる生物由来物質の健康影響も危惧されるようになってきた.