林地接種に適したマツタケ胞子の発芽促進処理

摘要

胞子播種は、きのこの簡易な人工増殖法であり、効率は悪いものの多くのきのこで成果を上げている。 マツタケにおいても、林地への胞子播種は農林家が容易に実施できる増殖法として普及されているが、シ口形成の成功例は極めて少なく、その主因は、最大でも01％以下という胞子発芽率の低さにあるとされる。 このため、以下の試験により林地播種に用いる胞子の発芽率向上を試みた。 1）胞子採取法の改良：胞子は採取時に発芽率が低下している可能性がある。 そこで、ヒダから直接採取した胞子と、京都府でよく用いられる、紙で採取した胞子の発芽率を比較した。 また、発芽率低下の原因として桂皮酸メチル（マツダケの芳香成分。 菌糸成長を阻害する）の関与が推察される。 そこで、活性炭で桂皮酸メチルを吸着し発芽率の低下を軽減できるか試みた。 2）林地播種に適した酪酸利用法の検討：酪酸はマックケ胞子の発芽促進物質として知られているが、林地播種に適した利用法は未確立である。 そこで、発芽準備は進行するが発芽は抑制された状態で胞子を長期間酪酸で処理し、高発芽率の胞子を得る方法を検討した。