遊休桑園におけるゥシの放牧がクヮの葉部生産量および ゥシの栄養状態に及ぼす影響

摘要

遊休桑園におけるゥシの放牧がクヮ葉の生産性とゥシの栄養状態 に及ぼす影響を調査した。宮城県南三陸町のクヮが繁茂する遊休桑園に放牧区4つと禁牧区1つを設け，放牧区には黒毛和種牛を移動 放牧してクヮの葉部生産量，化学成分および放牧牛の栄養状態を3 年間調べた。牧区移動時期はゥシ可食部（高さ0-2m)のクヮ葉部 がほぼ全て摂食された時とした。クヮの葉部現存量は3年間で大きく減少した。クヮ葉部の栄養価とミネラル含量は季節を通じて高かつたが，6月の方が8月にくらべ高かった。放牧牛の体重は入牧後一 時的に減少し2力月以上では維持または増体したが，血中尿素窒素 濃度は入牧後クヮ摂取に伴い大きく上昇し，退牧時には個体により 血中遊離脂肪酸濃度が上昇し，エネルギー不足が示唆された。クヮ 衰退を目的とした肉用牛放牧の場合，クヮ現存量の変化に伴うゥシ の栄養状態に注意する必要がある。