わが国とヨーロッパにおける地域資源政策

摘要

農村における地域資源という考え方について今盛んに議論がなされているが，この地域資源という考え方は新しい。 内容的に見ると，農地、農業用水、農村景観、伝統文化等であり，地域に住む人々が共同して形成してきた社会的共通資本を意味しているといえるが，今後における地域資源政策の展開と共に，その社会的な位置づけも明確になってくると思われる。 平成12年に新基本法（食料、農業、農村基本法）が制定され，国士の保全，水源の滴養，自然環境の保全，良好な環境の形成，文化の伝承等’農産物の供給の機能以外の多面にわたる機能を農業、農村の「多面的機能」として位置づけ，これが国民生活の安定に果たす役割の重要性を踏まえ，将来にわたつて十分に発揮されなければならないとしている。 さらに，国民的な考え方としても，農村の持つ豊かな自然環境や美しい田園風景等の農村の魅力が最近，特に再評価されてきている。