家畜排せつ物の堆肥化技術の向上ならびに温室効果ガス排出に関する研究

摘要

堆肥化は家畜排せつ物等を好気性微生物によつて分解-安定化させ，有機肥料を製造する技術である。製造され た堆肥は農業生産上，土壌を健全に保っための有機質資 材であり，土づくりには欠かせない。現代農業は堆肥等 の有機肥料よりも速効性のある化学肥料に極度に依存し， その結果，化学肥料への過度な依存が土壌を劣化させ， 持続的な農業生産環境の悪化を招いている。このような 状況が認識されつつあり，また化学肥料の価格高騰、高 止まりも相伴って堆肥の利活用が進みつつある。堆肥化は昔から経験的に実践されてきた伝統的技術で あり，数年かけて良質な堆肥を製造するものであった。 しかし，家畜ふん尿等が大量かつ集中的に排出されるよ うになり，これに対処するため短期間に堆肥を製造でき る高速堆肥化法が発展してきた。堆肥化技術は堆肥セン ターや畜産農家などに広く普及し，施設や機械も進歩し ている。それにも関わらず「良質な堆肥が製造されてい ない」という事例が数多く見受けられる。堆肥を製造す るには適正に制御された条件が必要であり，家畜ふん尿 を堆積させただけでは堆肥にはならないし，施設設備を揃えれば上手くいくといったものでもない。堆肥化の原 理ゃ適正な管理方法について十分理解し，反応促進方法 の確立や悪臭防除，熱利用等の堆肥化技術の高度化，肥 料成分濃度を高めた高品質堆肥等の製造技術の向上を図 ることが重要である。