温湯防除による夏秋どりいちごの 無農薬栽培への挑戦

摘要

私は今春就農し、新規品目として夏秋どり（7 月-10月収穫）いちごを導入する。現在，日本で の夏秋どりいちごの生産量は少なく，大部分が外 国産となっている。国産夏いちごの需要が高まつ ていることもあり，冬春どりいちごと比較すると 市場価格が高く高所得が見込まれる。山形県では 夏秋どりいちごの新品種「サマ一ティアラ」が育 成され，市場評価も高く，県全体で生産振興に力 をいれており，私の住んでいる庄内地域は，夏秋 どりいちごの県内最大の産地となっている。しかし，夏秋どりいちごは夏場の栽培であるた め，病害虫の発生が多く，防除対策が最大の課題 となっている。そこで，私は，新たな防除法である温湯防除に 着目し，化学合成農薬を使用せず，無農薬で栽培 することで，消費者の安全志向に応え，需要増加， 高付加価値，所得向上に結びつくと考えた。温湯 防除法とは，茨城大学農学部の研究報告から，葉 に50°Cの温湯を20秒間散布することにより，熱が 病害抵抗性を誘発し，主要病害を抑制するという 防除方法である。