日本のでTPP交渉への参加条件と農産品の交渉戦略

摘要

2015年10月に妥結したTPP交渉における農産品の扱いを巡って、日本政府は2013年7月の交渉参加後に主導権を発揮し、大きな成果を上げたと喧伝している。たとえば安倍首相は、「日本が交渉を積極的にリードすることで、厳しい交渉の中で国益にかなう最善の結果を得ることができた」「米国等が近年締結しているFTAでは類例を見ないようなレベルで重要5品目を中心に関税撤廃の例外を数多く確保することができた」と述べている(内閣官房2015 3)。しかし、こうした説明は正しくない。TPP合意の大枠は、日本が交渉に参加した時点で受諾した条件に規定されているからである。