どこへ向かう日本の食生活-食育基本法の船出-(2): 食育基本法のねらいを読み解く

摘要

最近になって、村井弦斎とか石塚左玄とかいった名前をよく聞くようになった。 村井弦斎は明治期の大衆小説家で、とくに新聞連載小説の　 「食道楽」がおおいに人気を博し、一躍、全国に名を馳せることとなった人物である。 「食道楽」は娯楽書という性格とともに、食生活をめぐるさまざまの問題をわかりやすく描き出す啓蒙書でもある。さしずめ、日本の近代化過程における「食育」の魁であったといえよう。 その「食道楽」が2005年7月に岩波文庫から刊行された。このことは、硯代日本において「食育」が社会全体の関心事項としての地位を獲得しっつあることと符合しているだろう。