世界のアスパラガス生産の現状と展望〔11〕 11.遺伝資源としてのアスパラガス，ポーランドの取り組みと 世界各国で行われた国際品種比較試験

摘要

これまでの10回にわたる連載では，世界の主要 なアスパラガス生産国の現状が網羅的に述べられ てきた.本稿ではやや視点を変え，育種の原点とも いえるアスパラガスの遺伝資源保存の状況と，これ まで3回行われてきた国際ァスパラガス品種比較試 験について紹介する.アスパラガスのような多年生で雌雄異株，虫媒に よる他殖性作物の遺伝資源保存の場合，種子での品 種、系統保存と並行して,組織培養体ゃ圃場に植え られた株の形で個体保存が行われる.食用ァスパラガス(Asparagus officinalis L.)の遺伝資源保存を行つ ている国はいくつかあるが，この中で，現在比較的: 多数の系統（または株）を保存しているポーランド 共和国（以下，ポーランド）の状況および現在収集 されてレヽるァスノくラカ'ス属igenusAsparagus)遺伝 資源の世界的なデータベースについて紹介する.