野生生物と農林業の共存--北海道のごりシカ被害を事例として--

摘要

明治期以降の北海道開拓の歴史は，エゾシカ保護管理の歴史でもある．明治期に入って入植者が増えると，エゾシカは乱獲された．この乱獲と1879年の豪雪によって，エゾシカは絶滅寸前まで生息数が減少した，とされている．そのため，エゾシカは禁猟とされるに至り，限定的な禁猟解除が行われたりしたものの，1956年まで禁猟は継続された．　しかしながら，森林域の農用地化および牧草地化によって，エゾシカの餌を供給することになる「草地」が増加し，エゾシカの急激な増加がもたらされることになった．