気候温暖化による農作物とその経営的対応 一山梨県ぶどう作を対象にして一

摘要

近年，気候の温暖化が指摘され久しいが，農業分 野においてその影響を強く受けるのが果樹作農業で あるといわれている.果樹は永年作物であり，生理 上，冬季には十分な低温が必要であり，成熟期にお いてもその成熟は気温と密接な関係がある.そのた め，温暖化の問題についてはこれまで栽培技術の観点からの分析が一般的であり（本篠，2007;杉浦ら， 2007),経営的要因についての分析はほとんど行わ れてこなかった.しかし今後，有効な温暖化対策を 講じるためには経営的要因との関連を明らかにする 必要がある. そこで本論文では，山梨県の果樹産地の農家を対 象としたアンケート分析から温暖化被害の実態と， 農家の経営的対応を明らかにするとともに，温暖化 対策に作用する経営的要因を考察し，今後の課題を 展望する.