事業完了地区における農業集落排水事業の農業効果分析 －北海道A町B地区を事例として－

摘要

農業集落排水事業は，農村地域の水質保全と生活環境の改善を目的に実施されてきた．農業集落排水事業によってもたらされる事業効果は，一般に，農業生産などにかかる農業効果，ならびに農村の生活環境改善などにかかる農業外効果に分類される．費用対効果分析が導入され事前評価が行われている農業集落排水事業の事業効果の測定には，農村の生活環境改善にかかる農業外効果の測定を中心に，仮想評価法（Contingent Valuation Method：以下CVMと略す）など定量化手法の開発が進められ，『農業集落排水事業における費用対効果分析マニュアル（案）』（以下『マニュアル（案）』と称する）が農林水産省にょって策定されている（農林水産省構造改善局計画部事業計画課［2000］）．しかし，農業効果の定量的な効果把握については，農業外効果同様，いまなお試行的段階にある．