家族経営を基礎とした政策理念と制度: スイスの場合

摘要

本報告では，スイスにおける家族経営の実態とそ れを支える政策や理念を検討する.スイスは日本と 同じ食料純輸入国でありながら，家族経営を農業の 中心的な担い手として位置づけ，その維持、発展を 目的とする政策体系を展開している.スイスでは家族柽営を農民柽営（bauertiche Betriebe)と呼び，これに焦点を絞り込んだ政策を展開してきた.スィ スの政策は，伝統的な家族農業柽営を重視するドィ ッゃフランスなどと比べても，家族へのこだわりが 強く，その方向性は鮮明である.その家族経営主義 の実態（理念や制度，経営の現状など）からは，家 族農業経営の存立条件や今後を展望するための基礎 ともなる情報を得ることが期待できる.