力キの超低樹高一文字仕立てによる軽労安定生産

摘要

福岡県は全国でも有数のカキ生産県で、2110, (2007年現在)の栽培面積を誇っているが、従事者の高齢化が進行するとともに労働力不足や価格の低迷等により、栽培面積が減少している。さらに、カキは高木性の果樹であるため樹高が非常に高くなりやすく、慣行の開心自然形による立ち木仕立て栽培では樹高は3.5mを超え、摘蕾、摘果、収穫等の管理作業に脚立の使用を余儀なくされている(写真1)。脚立作業は、脚立の持ち運びや昇り降り等、作業負担が大きくなるだけでなく、脚立上では転落等の不安を感じながら無理な姿勢をとる場合が多く、作業安全上大きな課題がある。福岡県農業総合試験場では1992年より脚立作業の回避を目的に低樹高化が可能な平棚仕立て栽培に関する技術開発を行い、省力.軽労化や収量安定、品質向上に有利なことを実証してきた。しかし、平棚仕立て栽培は棚の高さを1- 8 m程度に設定しており、腕を上げた状態での管理作業が連続し、高齢者や女性を中心に肩や首等に疲労が蓄積するといった問題点が指摘されている(写真2)。そこで、さらなる軽労化を目的に、「富有」を用いて、樹高が2m程度の超低樹高一文字仕立て法を新たに開発したので紹介する。