農業の多面的機能に関する国際比較ー光進何における優先的要素と政策手段ー

摘要

多面的機能や非貿易的関心事項という概念は，2000年から開始されたWTO農業交渉の帰趨にも人きな影響を与えるものとして，1990年代後半から，WTO，OECD，FAOといった国際機関において，加盟国間で激しい議論を巻き起こしてきた。 こうした議論の争点は，多血的機能の「範囲一」と「政策手段」に大別される,前者には，多面的機能をどう定義するかという間道と，いずれの機能が多面的機能の定義に該当し得るのかという開通が含まれる。 また，後者については，多面的機能の維持のためには，関税や価格支持といった生産にリンクした保護が必要という迂二場と，生産と切り離された「緑の政策」が最適との立場が対、ン二している。 本稿の目的は，多面的機能を巡る国際的な議論の中核である先進諸国を，日本，欧洲，北米,オセアニアの3つのグループに分類した上で，これらのグループ間で，重視される多面的機能の要素や多面的機能に対応するために必要と主張される政策手段が異なる安国を解明することである。