=特集「ふるさと再考」解題-

摘要

2011年3月11日に生じた東日本大震災，地震や津波， その後の原発事故にともなう避難や復旧、復興の取組み の中で，多く目にする言説にふるさとに関するものがあ る。長期にわたる避難生活，災害移住の決断の中で，遠 く離れた都会から出身地をおそった未曾有の災害を知る中で，ふるさとというものにあらためて目が向けられて いる。高度経済成長期以降，農山漁村地域を対象とした政策、 計画、事業、実践において，ふるさとという言葉は頻繁 に言及され，議論の対象となってきた。農村計画学会に おいても，設立当初より，学会誌やシンポジウム，研究 会などを通じて，「ふるさと」に関する議論が重ねられ てきた。また，そうした議論によって整理された「ふる さと」の概念は，農山村の活性化、地域づくり，居住環 境整備，景観保全，都市農村交流などの農村計画学会が 担ってきた重要な主題に大きな影響を与えてきた。