町をあげての自然生態系農業の実践一宮崎県緩町一

摘要

宮崎県東諸県郡綾町は，国定公園綾照葉樹林地帯に 位置し，「日本の自然百選」や「日本名水百選丄「日本 森林浴百選」などに指定されている地域である（図1)。 先人たちが育んできた照葉樹林などの生態系を保護しな がら，「本物をつくる町丄「手づくりの町丄「有機農業の町」として,生活文化を楽しむ町づくりを粛々と歩み 続けている。綾町の農林業者らは,「綾町憲章」に謳われている「自 然生態系を生かし育てる町にしよう」の基本理念を更に 追求し，「土と農の相閨閨係」の原点を見つめ，近代的 で合理的，省力的な農業の拡大を反省した。すなわち， 「化学肥料，農薬などの合成化学物質の利用を排除すること丄「本来機能ずベき土などの自然生態系をとりもど すこと」，「食の安全と健康保持、遺伝毒性を除去する農 法を推進すること」また，遺伝子組み換え作物による自 然生態系の汚染を防止するため「遺伝子組み換え作物の 栽培を行わないこと」を改めて確認し，消費者に信頼さ れる「綾町農業」を確立することで，安定的な発展を期 するための条例を制定した。この全国初となる「自然生 態系農業の推進に閨する条例」により，様々な有機野菜， 果物，畜産物生産に関しては，自然環境に調和した農業 の推進が実施されている。